はじめに
ホテル業界への就職・転職を検討されている皆さん、現在のホテル業界の「給与事情」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?「給与水準が低い」「激務」といったネガティブな情報が先行しがちですが、実はコロナ禍を経て、業界全体の給与水準が大きく変化し、求職者にとって追い風が吹いているのをご存知でしょうか。
本記事では、2023年以降に顕著となったホテル業界の給与急上昇の具体的なデータと、その背景にある最新の業界動向を徹底解説します。求職者の皆さんが抱える「給料はどれくらい?」「働きやすい会社はどこ?」といった疑問に対し、最新のファクトに基づいた情報を提供し、賢い企業選びのヒントをお届けします。
コロナ禍からのV字回復!ホテル業界の給与が急上昇の背景
近年、ホテル業界はかつてないほどの給与上昇を見せています。特に2023年以降、採用時の給与水準が大幅に引き上げられており、これはホテル業界への就職・転職を考える方にとって非常に明るいニュースです。
ホテル業界の採用市場レポートによると、2023年には正社員・契約社員の採用時提示年収が前年比で7%以上もアップしました。さらに、アルバイト・パートの時給に至っては、13.8%を超える大幅な上昇を記録しています。この高水準は2024年も維持されており、業界全体で待遇改善が急速に進んでいることがうかがえます。(参考:ホテル業界の給与が急上昇!2023年の採用時給が前年比…)
この給与急上昇の背景には、主に以下の2つの要因が挙げられます。
1. 爆発的なインバウンド需要の回復
観光庁の宿泊旅行統計調査(2024年11月時点)によると、延べ宿泊者数はコロナ禍前の2019年同月と比べて17%増加しており、特に外国人の宿泊者数は62.0%増と大きく回復しています。国内外からの宿泊需要が回復傾向にあることから、ホテル業界全体の業績は安定的に推移すると予測されています。(参考:ホテルへの就職の実態! 平均年収やリアルな働き方をプロが…)
この急激な需要回復に対し、コロナ禍で縮小していた人員体制では対応しきれなくなり、新たな人材確保が喫緊の課題となりました。
2. 深刻な人手不足
コロナ禍における観光需要の激減により、多くのホテルが人員削減や採用抑制を行いました。しかし、需要がV字回復した現在、現場では深刻な人手不足に直面しています。この人材不足を解消するため、各企業は優秀な人材を確保しようと、給与水準や待遇の改善を急ピッチで進めているのです。最低賃金の全国的な引き上げも、ホテル業界の時給相場の底上げに貢献しています。
雇用形態別に見る給与上昇のリアル
給与上昇の傾向は、雇用形態によっても特徴が見られます。
正社員・契約社員の年収変化
2019年までは緩やかな上昇に留まっていた正社員・契約社員の年収ですが、コロナ禍では無期雇用と有期雇用の間で差が生じました。しかし、2023年には需要回復に伴い、正社員・契約社員ともに採用が再拡大し、前述の通り前年比で7%以上もの年収アップが見られました。企業は人材確保のため、無期・有期を問わず待遇改善を急速に進めており、この高い水準は2024年も継続しています。
アルバイト・パートの時給急騰
アルバイト・パートの時給も、コロナ禍で一時停滞したものの、2023年には前年比13.8%を超える大幅な時給アップが記録されました。これは、特に現場でのサービス提供を担うスタッフの需要が非常に高まっていることを示しています。最低賃金の引き上げも相まって、ホテル業界のアルバイト・パートは、かつてないほど高待遇で働けるチャンスが広がっていると言えるでしょう。
施設カテゴリ別で見る給与水準と動向
ホテル業界と一口に言っても、その業態は多岐にわたります。給与水準も施設カテゴリによって異なる傾向があります。
* シティホテル・リゾートホテル:大都市圏のシティホテルやリゾート地のホテルは、採用時の提示年収が全体的に高い傾向にあります。高級志向のサービスを提供するため、専門スキルを持つ人材への需要が高く、待遇面でも他カテゴリより上位に位置することが多いです。
* ビジネスホテル:従来、シティホテルやリゾートホテルに比べて給与水準は低い傾向にありました。しかし、近年は人手不足の深刻化に伴い、給与の底上げが進められています。
* 旅館:地域や施設規模によるバラつきはあるものの、ホテル系と同程度かやや低めの水準で推移してきました。こちらも人手不足が指摘される業態であり、コロナ後は人材確保のため給与条件を引き上げる動きが見られます。
* レストラン・結婚式場(ホテル内):ホテル内外のレストラン部門の採用給与は変動幅が大きいのが特徴です。景気や観光客数の影響を受けやすい職種ですが、需要回復期には高給オファーも散見されます。ブライダル施設も、コロナ禍の影響から回復し、採用が活発化するとともに給与水準も回復傾向にあります。
これらの情報から、自身の希望する働き方やキャリアパスに合った施設カテゴリを選ぶことが、より良い待遇を得るための鍵となるでしょう。
【最新ニュースから】ホテル業界の「働き方」にも変化の兆し
給与水準の向上だけでなく、ホテル業界の「働き方」そのものにも変化の兆しが見られます。近年、ホテルがSNSを活用して情報発信を行う事例が増えており、これは単なる集客だけでなく、従業員の働きがいや職場環境にも良い影響を与える可能性があります。
例えば、大阪市の「ホテルビースイーツ」は、公式TikTokアカウントでホテルの利用マナーに関する注意喚起や、ホテル滞在中の豆知識を発信し、大きな話題を呼んでいます。
「あなたみたいな考えの人が100人いたら…」 ホテルスタッフの“問い掛け”に「マナーは守らなきゃダメ」(オトナンサー) – Yahoo!ニュース
このような取り組みは、ホテルのブランドイメージ向上に貢献するだけでなく、従業員が自社の魅力を発信する機会を得ることで、仕事への誇りやエンゲージメントを高めることにも繋がります。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、チェックイン・アウトの自動化や清掃業務の効率化が進むことで、従業員の業務負担が軽減され、より質の高いサービス提供や顧客対応に注力できる環境が整いつつあります。これは、給与だけでなく「働きやすさ」という側面から、ホテル業界の労働環境が改善されつつあることを示唆しています。
まとめ:給与上昇はチャンス!賢い企業選びのポイント
2025年現在、ホテル業界はインバウンド需要の回復と深刻な人手不足を背景に、給与水準が大きく向上している「売り手市場」の状況にあります。特に2023年以降の給与急上昇は、ホテル業界への就職・転職を検討する皆さんにとって、大きなチャンスと言えるでしょう。
しかし、給与水準だけでなく、勤務形態(シフト制、夜勤の有無)、休日数、残業時間、福利厚生、そして自身のキャリアパスに合った企業選びが重要です。大手チェーンや外資系ラグジュアリーホテルでは高待遇が期待できる一方、ビジネスホテルや旅館でも人手不足を背景に待遇改善が進んでいます。
ホテル業界は、お客様に最高の「おもてなし」を提供するやりがいのある仕事です。給与上昇という追い風を最大限に活用し、自身の理想とする働き方やキャリアパスを実現できる企業を見つけるために、ぜひ多角的な視点から企業研究を進めてください。
ホテル業界でのキャリア形成については、以下の記事もぜひ参考にしてください。
ホテル業界の給与と働き方実態:ホワイト企業を見抜く就職成功戦略
ホテル業界の働き方2024:激務は過去?最新の労働環境とキャリアパスを徹底解説
ホテル業界就職・転職:2024年最新!給料・福利厚生で選ぶホワイト企業
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